第三章メモ

 書き留めたデータの一部発見。

ちょっとこっちに一部をサルベージ。

メモなので、先の話でネタバレ全開ご容赦くまさい。

どこに保存したのかなー。DVDかCDに焼いてあるはずなんだが・・・。



第三章.別離

  ?別れ

 

 内紛から生き延びた三人だが、バーンが初めてみせた圧倒的な力が、バーンに纏わる人々の関係を緩やかに崩壊させ始める。

 ジュゲやエルディナは味わったことのない無力感から抜け切れないでいた。彼女達にはバーンが何をしたのかさえ理解出来なかった。それはアンドロイドのクールズも同じであったが、彼のように理解出来ない力を無視することがジュゲには出来なかった。ニューマンは理解する生き物である。理解できないものも、理論付け、理解できるカテゴリーに分ける。しかし、あの力は到底カテゴライズ出来うるものではなかった。「バーンは人間ですらないのではないだろうか?」そんな思いすら湧いた。「バーンは一体何者なのか?どのような存在なのか?」頭から離れななくなった。同時に、あまりの次元の異なる力に喩えようのない無力感を感じていた。同時に襲い来る孤独感から次第に距離をとるようになる。

 ジュゲはその最中に知り合ったニューマンのサイロに生まれて初めて恋心を抱く。初めて見出した安らぎにバーンへの足は遠のいた。そして共に二人はひかれ合う。

 次なる目的地が決まり、何時ものように旅立とうとする二人に、ジュゲは遂に別れを告げる決心をする。思いを振り絞って別れを告げるジュゲに対し、彼女が思いもしない答えがバーンから返ってきた。

 

「そうですか。クールズ、参りましょう」

 何時ものようにすっくと立ち上がるバーン。その背をジュゲは呆然と見つめる。

「それだけ・・・。それだけなの・・・」消え入りそうな声は最早バーンには届いていないようだ。

「ひ、姫!」

「どうしました?」

 何時ものように穏やかな顔で振り返ると、ジュゲを一瞥もせずクールズの足元をみている。

「ま、誠に、誠に申し訳ない。クルブシのR1Cに異常がみられるでござる。・・つきましては・・」

「わかりました。先に行ってます」

「いや、しかし、一人では危険でござる。ココはしばし、しばし・・」

 バーンは何か得心したような顔をし、小さく笑った。

「あなたがジュゲとの別れを惜しむまでになりましたか。そうですか。けっこう。では、納得がいきましたら落ちあいましょう」

「ひ、ひ、姫!」

 彼女は何時もの通り、滑るような足取りで歩きさった。

 クールズの目線の先には一度も振り返ることもなく歩む、いつもの姫がいた。

「それだけ・・・姫にとってその程度の存在だったの・・・」

 顔を地面に突っ伏しダンゴムシのように小さく丸くなったジュゲがいた。

「ジュゲ・・・姫を悪く思わないで欲しい」

「思わないよ・・・。姫にとって俺は虫けらのような存在だったってことでしょ」

「それは否!それは断じて否!」

「いいよクール・・もう、いいよ。いっていいよ・・バーンさんの元に、姫様の元に行っていいよ」

「否!ジュゲ、それは否!それは断じて・・姫の真意ではない!」

「いらないんでしょ。姫様やクールにとって俺なんて、いてもいなくても変わらない存在なんでしょ。何の役にも立たないんでしょ・・・」

うんぬんかんぬん

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